2013年10月掲載
「ザ・バンク」
ザ・バンク 堕ちた巨象
2009年日本公開 アメリカ/ドイツ/イギリス合作
上映時間 1h57 <予告篇>
STAFF
監督・・・トム・ティクヴァ
脚本・・・エリック・ウォーレン・シンガー
撮影・・・フランク・グリーベ
音楽・・・トム・ティクヴァ
ジョニー・クリメック
ラインホルト・ハイル
CAST
ルイ・サリンジャー・・・・・クライヴ・オーエン
エレノア・ホイットマン・・・ナオミ・ワッツ
ウィリアム・ウェクスラー・・アーミン・ミューラー=スタール
ジョナス・スカルセン・・・・ウルリク・トムセン
苦々しい顔をしたクライブ・オーウェン扮するインターポール捜査官(ルイ・サリンジャー)のクローズアッ
プで始まります。幾多の犯罪スキャンダルで破綻した実在の銀行BCCIをモデルにしています。
映画の中ではIBBCという名前で出てきます。この銀行はルクセンブルグに本部があるメガバンクですが、
テロや紛争につけ込み武器やミサイルまでも仲介し国を破綻させ事実上支配していく極悪バンクなのです。
物語は冷たい緊迫感みなぎるサスペンス・ミステリーとして進行するのですが、サリンジャーはインターポール
の捜査官なので逮捕権がありません。そこがじれったいところです。IBBCは不利益になる証人を次々と暗殺
します。例えそれが社会的に名を成した人物であってもです。ときには複数の暗殺者を用意する周到ぶりを
みせます。随所に盛り込まれた優れたアクションが熱い映画的興奮を喚起します。最大の見せ場は、フランク・
ロイド・ライドが設計したニューヨーク・グッゲンハイム美術館での怒濤の銃撃バトルですがここまでやるかと
思ってしまいます。ラストシーンには、マフィアまで登場しクライブ・オーウェンの苦虫を噛み潰した顔の
クローズアップで終わります。銀行の内部にいて暗殺の指令を出すウェクスラーをアーミン・ミューラー=スタ
ールが渋く演じています。彼は例会でも取り上げた「マイセン幻影」や「ミュージックボックス」「シャイン」
などでも存在感のある役柄を演じています。