「アオギリにたくして」 「思い出のマーニー」


 

 

アオギリにたくして

 

 

2013年日本映画 1h40  <予告編>

 

 

原作・脚本・監督:中村 柊斗

 

 

出演:原 日出子/菅井 玲/塩出 純子

 

 

 

フリーライターの片桐千草は、東日本大震災の取材で訪れた東北でアオギリの植樹に触れ、広


島で被爆したアオギリの苗を全国各地で移植する田中節子の存在に興味を抱く。広島で取材する


うちに節子の妹・良恵と出会い、節子の生前の日記を預かる。そこには、原爆により左足を失っ


た女性の苦悩が克明に綴られていた。

 

この作品は、被爆アオギリの樹の下で被爆体験を語り継いだ沼田鈴子さんをモデルとした劇映


画です。沼田さんは、東日本大震災の年の2011年7月12日、87歳の生涯を閉じました。


映画は、沼田さんの壮絶な人生を忠実にたどりながら、生きる支えとなったアオギリに励まさ


れ、平和の語り部として生きた沼田さんの思いが描かれるのです。同時に、現代に生きる女性、


千草をもう一人の主人公に据え、被爆者である節子の人生を追体験することにより、自分らしい


生き方を学んでいくという人間ドラマとなっています。

 

来年、被爆・戦後70年を迎えるいま、プロデューサー、監督はじめスタッフ全員が、資金と


時間の制約の中で、被爆者の思いを受け継ぎ、伝えていこうという意思が全編にみなぎり、力の


こもった作品になっています。

 

8月2日の公開初日に八丁座で鑑賞。映画終了後、プロデューサーの中村里美さんからあいさ


つ。特別企画としてアオギリ合唱団のみなさんと八丁座の蔵本さんもギター伴奏に加わり全員で


主題歌を歌いました。8月8日まで公開中。                                    

 

                                                                           (OK)

 


 

 

思い出のマーニー 

 

 

2014年日本映画 1h43 <予告編>

 

 

監督:米林 昌宏  原作:ジェーン・C・ロビンソン

 

 

声の出演:高月 彩良/有村 架純

 

 

 

スタジオジブリ最新作は、イギリス児童文学の名作を北海道に舞台を移した、米林宏昌監督の「借りぐ


らしのアリエッティ」に続く2作目アニメーションです。

 

心を閉ざした少女杏奈は、喘息の療養のため、養親から離れ海辺の町で過ごすうちに、入江に建つ古屋


敷に住む金髪の少女マーニーとめぐり合います。ひと夏の出会いと別れの中での少女の成長を、繊細にか


つミステリアスに物語ります。

 

観終わって、つくづく女性の時代だと思いました。観客も平日の午前中に観たが、おじさんの私と中学


生のふたりを除く全員が女性客でした。登場人物もほぼ女性で、何より少年が出てこないじゃないか。大


ヒットした「アナと雪の女王」にも通底する、女性同士の友情を超えたつながりが描かれるのです。ジブ


リの両巨匠が関わらなかったからこそ描けたともいえる記念碑的作品。

 

プリシラ・アーンが孤独だった中学時代を思い出しながら作ったという主題歌も、映画の雰囲気にぴっ


たりで、映画の余韻に浸りながら聞きました。

 

                                          (OK)