レヴェナント 蘇えりし者
2015年 アメリカ映画 上映時間:2h37 (R15+)
監督:アレハンドロ・ゴンザレス・イニャリトゥ <予告編>
出演:レオナルド・ディカプリオ/トム・ハーディ
レオナルド・ディカプリオが主演男優賞を受け、監督賞を得た『レヴェナント 蘇えりし者』を見ました。最
終回のせいか、それとも評判がもう一つなのか、観客は20人以下。出だしの水の流れ、次第に森林の
中にいることがわかるシーン、一発の銃声からの襲撃場面の迫力はさすがに圧倒されます。見ているこ
ちらが、痛い!と感じ思わず身をよじるような場面が続き、息で曇るほどの接写!!カナダだという雄大
な自然の中での凄まじいサバイバルです。
アメリカのネイティブの土地の中に白人が侵入しつつある時代が舞台なので、互いの文化、利害の衝突
も見えます。ディカプリオは、その両方に足を置く立場で、ネイティブの智恵で生き抜いて、息子の復讐
に向かうのです。映像の迫力や、次々と襲う難関のため、最後まで見てしまいますが、正直なぜこれが
受賞?と思いました(未見の方はご免なさい!)。
ディカプリオがほとんどしゃべらない分、迫力のある敵役がよくしゃべり、「神」を持ち出すのが印象的で
すが、そのあたりも選者の好みかも。昔の映画で、白人とネイティブの社会を行き来した『小さな巨人』
(D・ホフマンが主演)、ケビン・コスナー主演の騎兵隊の兵士がスー族の仲間になっていく『ダンス・ウィ
ズ・ウルブズ』などを思い浮かべました。が、ラストの亡くなった家族との場面は、ローマ時代の『グラディ
エーター』(ラッセル・クロウ主演)を連想してしまいました。
アメリカで単純な西部劇、いわゆるインディアンを悪役にした映画を作らなくなりかけた頃、一番印象に
残ったのはR・レッドフォード主演の『大いなる勇者』でした。白人ながら、ネイティブの文化やその地で暮
らす智恵に敬意を払い、しかし野蛮人と無視する白人のとばっちりを受けて、ネイティブの戦士達との闘
いを余儀なくされる話です。黒澤明を大好きなジョン・ミリアスが脚本、シドニー・ポラック監督の作品で、
『用心棒』や『椿三十郎』の三船と仲代のように、次第にお互いを認め合っていくのがミリアス好みでしょ
うか。 (ストーン)