「チャイルド44 森に消えた子供たち」 「戦場ぬ止み」 「アリスのままで」

 

チャイルド44 森に消えた子供たち

 

2015年 アメリカ映画 上映時間2h7 <予告編>

 

監督:ダニエル・エスピノーサ 脚本:リチャード・プライス

 

出演:トム・ハーディ/ノオミ・ラパス/ゲイリー・オールドマン

 


原作は、「このミステリーがすごい」で09年海外編第一位に輝いたトム・ロブ・スミスの

 

『チャイルド44』。ロシアでは発売禁止となった問題作をスウェーデン生まれのダニエル・

 

エスピノーサを監督に映画化した。

 

原作の基になったのは、1978~90年にかけて52人もの女性や子どもたちへの連続殺人

 

事件。殺人や強盗は資本主義の弊害として、あってはならないとされていた旧ソビエト連邦下

 

で現実に起こった事件である。この事件を1950年代のスターリン独裁下のソ連に舞台を移

 

している。

 

1953年、スターリン時代のソ連で子どもたちの変死体が次々見つかる。しかし事件は、上

 

層部の判断で事故として処理される。KBGの前身である秘密警察MGBの捜査官レオ・デミ

 

ドフは、友人の息子の死をきっかけに事件解明に乗り出すが、真実よりも国家の都合が優先さ

 

れる全体主義国家のもとでは、彼の行動は、国家への反逆と見なされてしまう。

 

何という理不尽、誰も信用できない状況下でレオの苦悩が始まる。さらに愛する妻にもスパイ

 

容疑がかけられる。間一髪処刑を免れたレオと妻ライーサは、見せしめに地方都市に飛ばされ

 

てしまう。

 

エリート捜査官だったレオが、妻ライーサとの馴れ初めを無邪気に語るシーンがあるが、一方

 

のライーサは何だか連れない。事件と並行して描かれるのは、そんなふたりが本当の夫婦とし

 

ての信頼を取り戻す愛情物語でもある。それにしても、卑劣で執拗な妨害をはねのけるすさま

 

じいシーンの連続に息も止まる思い。

 

冒頭は、ウクライナで孤児院を逃げ出した少年が軍人に拾われレオと名付けられ、第二次世界

 

大戦のベルリン陥落で英雄となるエピソード。その一方で、戦争がもたらした孤児や飢餓の存

 

在が、犯罪の遠因になったであろうことも描かれる。

 

ラストで、レオと家族の新しい出発が暗示されるが、小説では同じ著者によるデミドフ一家の

 

その後の3部作として『グラーグ57』、『エージェント6』(いずれも新潮文庫)も発表さ

 

れている。

(OK)



戦場


2015年 ドキュメンタリー 2h9     <予告編


監督:三上 智恵

 

8/9の夜、横川シネマに「戦場ぬ止み」   (いくさばぬとぅどぅみ)を見に行きました。


昨年の呉の映画大学、御手洗で熱い三上さんの話を聞き、また今年の春、この映画の編集中の忙しい


中、広島YMCAでの講演を聞きました。 そして、5/3には、辺野古おばあをモデルにした場面がある


憲法ミュージカルを上演しました。


その勢いで、6月には、辺野古の浜、キャンプ・シュワブ前のテント村、高江のテントへ。 その時、三上さ


んがよく来るという、那覇市内の奥まった所にあるユニークなパブ?にも連れて行ってもらいました。


長男が基地反対の市民投票の時に生まれたという5人家族、沖縄戦の歴史を背負った辺野古おばあ、


高校からの活動を続けるヒロジさんらを軸になります。 そして、辺野古の歴史と、埋め立てで作られよう


としている米軍新基地の実態(普天間の代わりなどではない強大な恒久基地)が描かれます。


 どれだけ反対しても、どんなに訴えても、聞く耳を持たない権力に、投げやりや無力感を抱きそうなの


に、何という笑顔や心からの言葉なのだろう。そのみんなが、オール沖縄による県知事選勝利の報に、


踊り出し歌い出すシーンには熱くなります。


 今、1ヶ月の工事休止が始まりました。 沖縄のテレビだけでの放映では広がらない、と言っていた三上


さんからの強力なメッセージです。


 双子の娘達の話がいいですが、昨年の大晦日に自前の刺身を差し入れた、基地反対運動に批判的な


海人(漁師)の姿に、大きく変わりつつある沖縄の力を感じました。


ぴったり寄り添って、一杯撮影した映像の編集は大変でしたでしょうが、もう少し短くしたらと思ったのも


実でした。


 現在国会で審議中の安保法案=戦争法案の行き着く先が、辺野古の新米軍基地にあることを知るた


めにも、どうぞ。 8/21まで上映です。                                (ストーン)


 

アリスのままで

   

  2014年 アメリカ 1h41 <予告編>

 

  監督:リチャード・グラツァー/ウォッシュ・ウエストモアランド

 

  出演:ジュリアン・ムーア/アレック・ボールドウィン


若年性アルツハイマーの女性アリスが記憶を失っていく日々をつづった映画。


アリスはコロンビア大学で教鞭をとる言語学者。ジョギング中に道が分からなくなったり、


義中に言葉が思い出せなくなったりと忍び寄る病魔に自らが気づく。自らが病院に行き自分


夫に自分の病気を告げる。記憶が薄れる前に自らが残したビデオメッセージを発見する。自


が自分でいられるため、画面の中の自分が語る事を実行しようとする。病気が昨日までの平


な人生の全てを奪っていく残酷さと必死で立ち向かっていこうとするアリスの姿が痛々しい。


誰にも起こりうる病気で他人事とは思えなかった。


ただアリスのように段取りよくは到底いかないだろう。ジュリアン・ムーアが演じるから許


てしまう。微妙な変化を恍惚として美しく演じている。何が待っているか予想のできない人


生。一瞬一瞬を大切に今を生きる事の大切さを伝えてくれる。

                                   (マリリン)