「ジミー、野を駆ける伝説」「百円の恋」「あと1センチの恋」

 

  ジミー駆ける伝説

 

2014年 イギリス・アイルランド・フランス 上映時間149  <予告篇>

監督:ケン・ローチ  脚本:ポール・ラバ-ティ

出演:ジミー・グラルトン・・バリー・ウォード/ウーナ・・シモーヌ・カービー

 

 「天使の分け前」のイギリスのケン・ローチ監督が、権威主義的な教会や地主から庶民が理


不尽な抑圧を受けていた1930年代のアイルランドを舞台に、実在したジミー・グラルトンを


主人公に、自由を渇望する人々の喜びと苦悩を描いた物語です。


 1932年、内戦が終結してから10年が過ぎたアイルランドに、アメリカで暮らしていた伝説


の人ジミーが戻ってきます。故郷のリートリム州で年老いた母と穏やかに暮らそうとしていた


ジミーでしたが、村の若者たちは、かつて地域のリーダーとして絶大な信頼を得ていたジミー


を頼り、閉鎖されていたホールの再開を訴えます。


ジミーは人々が集い、芸術やスポーツ、歌やダンスを楽しみ人生を豊かにするためのホール


(集会所)の修理、再建を決意します。しかしそれは、庶民が自らの意思で集まり語り合うこ


とを何よりも恐れるカトリック教会、大地主そして警察を敵にまわすことでした。

 

どんなときでも、息子ジミーを信じて疑わない老いた母親の姿に励まされます。ある権力者


がこう言います「ジミーは厄介だ。彼には欲がない。そのうえ誠実だ」。この映画の撮影時、

 

77歳だったケン・ローチ監督は左目を失明していましたが、出来上がった作品は力強さに


ちており、そんなハンデは微塵も感じさせません。

 

同監督のカンヌ国際映画祭パルムドール受賞作品「麦の穂をゆらす風」とあわせて鑑賞すれ


ば、時代背景が良くわかります。

<紅孔雀>

 



 

 百円の

 

  2014年 日本映画  上映時間153  <予告篇>

 

  スタッフ

  監督・・・武 正晴    脚本・・・足立 紳

 

  キャスト

  一子・・・安藤サクラ   狩野 祐二・・・新井 浩文

 

どこにでも居そうで人ごみに紛れたら所在が分からない。しかし、ひとたびスク

 

リーンに登場すると圧倒的な存在感を発揮。そんな安藤サクラの独壇場です。

 

これは誰かの演技指導でできるものではありません。彼女が持っている天性のも

 

ので思わずロバート・デ・ニーロを思い出してしまいました。キネマ旬報主演女

 

優賞も当然です。これからも彼女の共演者はよほど自分の立ち位置をしっかり

 

持って出演しないと彼女にのみ込まれてしまうでしょう。いつも猫背で自堕落に

 

生きてきた一子がひょんなことからボクシングにはまり体を鍛え、試合をするに

 

るまでの物語です。この映画のいいところはお定まりのサクセスストーリーに

 

ていないところです。物語はテンポよく進みます。とりわけ、ゆるゆるだっ

 

体を絞り込むためのトレーニング――高速縄跳びやサンドバッグ叩き、走り込

 

などの場面は圧巻で、短いカットの連続で観客の高揚感を引き出してくれす。

 

ジムだけではなく職場である百円ショップの棚の間から映したカット、一子が軽

 

やかにステップを切るシーンなどは強く印象に残ります。

 

各エピソードの深みに多少物足りなさが残りますが、テンポの良さと物語が進む

 

につれて次第に輝きを増していく安藤サクラの演技力がそれを救っています。

 

私たちはダメ人間だった一子の成長を見守り、手を送りたくなるのです。                                      

 

なお、この映画は周南・下松・光でロケをしており一子がデートをするシーンに

 

出てくるのは徳山動物園です。                 <紅孔雀>                      



あと1センチ 


2014年製作 ドイツ・イギリス合作 上映時間 143

監督・・・クリスチャン・ディッター

出演・・・リリー・コリンズ/サム・クラフリン  <予告篇>

 

誰しも経験のある青春時代の切ない想い。相手を前にすると正直な気持ちが伝えられなくて、


もどかしい。「あと1センチの恋」、実にうまいタイトルをつけたものだと思います。


主役の二人が初々しくて素敵です。ヒロインのロージー役を演じるリリー・コリンズは幼いこ


ろから子役として活躍。大学卒業後は、司会やコメンティーター、モデルとしても活躍し、


2012年公開の「白雪姫と鏡の女王」などに出演するなど、世界中の若いファンから支持を


得ている今最も注目を浴びる女優です。


相手役のアレックスを演じるのは、リリー・コリンズと同じイングランド生まれのサム・クラ


フリン。イギリスのテレビシリーズに出演後、「パイレーツ・オブ・カビリアン」「スノーホ


ワイト」など話題の映画に出演している若手俳優です。


お互いが好きなのに、運命のいたずらでいつもすれ違ってしまう。日本の伝説的なラジオドラ


「君の名は」のようなストーリーです。


ラストはどのような形でハッピーエンドになるのか。ぜひ映画館でご覧ください。(せん寿)