2013/1月掲載

「砂漠でサーモンフィッシング」「96時間/リベンジ」「LOOPER/ルーパー」「アルゴ」ー2 「声をかくす人」ー2


(C)2011 Yemen Distributions Ltd., BBC and The British Film Institute.All Rights Reserved.
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 砂漠サー

 

   ィッシング 

 

 2012年日本公開 イギリス映画 上映時間137 

                 <予告篇

 STAFF

  監督・・・ラッセ・ハルストレム

  脚本・・・サイモン・ボーファイ

  撮影・・・テリー・ステイシー

  音楽・・・ダリオ・マリアネッリ

 

 CAST

  アルフレッド・ジョーンズ・・・・・・・・・ユアン・マクレガー

  ハリエット・チェトウォド=タルボット・・・エミリー・ブラント

  パトリシア・マクスウェル・・・・・・・・・クリスティン・スコット・トーマス

  シャイフ・ムハマド・・・・・・・・・・・・アムール・ワケド

  ロバート・マイヤーズ・・・・・・・・・・・トム・マイソン

 

 砂漠の国イエメンで鮭を泳がせて釣りをするという信じ難いプロジェクトの顧問を頼まれた水産学者の

 アルフレッド・ジョーンズ博士(ユアン・マクレガー)は呆れはてます。北海で鮭を1万匹捕まえ、世界最大の

 輸送機で生きたまま運ぶ。費用は5000万ポンド。どうせ実現不可能だからと、思いつきのホラ計画をペラペラと

 話すジョーンズでしたが、窓口である投資コンサルタントのハリエット・チェトウォド=タルボット

 (エミリー・ブラント)は「さっそく取りかかりましょう」と微笑みます。依頼人は、イエメンの大富豪シャイフ

 (アムール・ワケド)です。金で買えないものはないと考える不遜な男と思っていましたが、人間味に溢れた

 一人の釣り人でした。竿を手に共に川へ入り、語り合ううちにジョーンズは彼に共感と敬意を抱くように

 なります。そのころ中東に派兵していたイギリスは戦闘中に多くの犠牲者を出してしまいます。

 そこでイギリス政府は批判をかわすための話題作りに“イエメンでの鮭釣り”に乗ることにします。

 しかし荒唐無稽、大ぶろしきであることに違いはありません。でも雨季の水を蓄えた地層を見つけたシャイフは、 

 人々の生活のために砂漠に水を引く長期計画を実行、既にイエメンにはダムが完成していました。

 ほら話が何とか陽の目を見そうになって来た時、今度はイギリス国内の釣り人の猛反対で天然の鮭を移送する

 ことができなくなります。やむなく養殖の鮭を使うことになりますが、はたして養殖の鮭は川を遡上するので

 しょうか・・・。どこまでが虚でどこからが実なのかよくわからなくなったりします。愛とか恋とかの話は

 リアルですが鮭の移送は実に簡単にやってのけます。だからこれは壮大なるほら話なのかなと思ったりも

 するのです。ユアン・マクレガーと魚といえば「ビッグ・フィッシュ」を思い出しますし・・・。

 監督は「ギルバート・グレイプ」「サイダーハウス・ルール」のラッセ・ハルストレムです。

                                 2013/1/26シネツイン本通り(紅孔雀)                               


(C)2012 EUROPACORP - M6 FILMS - GRIVE PRODUCTIONS
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 96時間/リベンジ 

 

    2012年製作 フランス映画 上映時間 131 

                    <予告篇

    STAFF

     監督・・・・ オリヴィエ・メガトン

     製作/脚本・・リュック・ベッソン

     撮影・・・・  ロマン・ラクールバ

     音楽・・・・  ナサニエル・メカリー

 

             

              CAST

               ブライアン・ミルズ・・・リーアム・ニーソン

               キム・ミルズ・・・・・・マギー・グレイス

               レノーア・・・・・・・・ファムケ・ヤンセン

               ムラド・・・・・・・・・ラデ・シェルベッジア

 

 拉致された娘を救うために、アルバニア系犯罪組織に単身で挑む元CIA工作員の強すぎる父親を、リーアム・ニー

 

 ソンが演じた『96時間』の続編です。前作パリでブライアン(リーアム・ニーソン)に息子たちを殺害され、

 

 怒りに燃える初老のアルバニア人ムラド(ラデ・シェルベッジア)が大勢の手下を引き連れ復讐を企てています。

 

   息子たちの方が100%悪かったのに全く反省の色もありません。息子たちに輪をかけた大ワルじいさんです。

 

 ブライアンの元妻と娘に危機が迫り迷路のようなイスタンブールの市街地を逃げ回りながら繰り広げられる追跡劇

 

 と、短いカットでつなぐシーンはお馴染みですが、それなりの臨場感があります。とはいえ免許取得中の娘に

 

 あんな運転が出来るのかと思ってしまうほど見事なハンドル捌きです。ギャーギャー騒ぎながら逃げ回ります。

 

 一方では殴られても蹴られても撃たれても決して怯まない阿修羅のような無敵ブライアンが大活躍します。

 

 しかし、ニーソン自身は少しへばっています。面白いのはデート中の娘を見つけるのにGPSを使い、捉えられた

 

 場所を特定するのにはアナログな手法を用いているところです。それにしても家族3人(実質は2人)だけで

 

 事件を片付けてしまう凄さにはあっけに取られてしまいます。とどのつまりは詰めの甘いじいさんでした。

 

 個人的には娘キム(マギー・グレイス)が老け顔なのがチョイ不満です。フランス映画ですが言語は英語です。

                                    

                                    2013/1/22バルト11(紅孔雀)     

 

  
(C) 2012 LOOPER DISTRIBUTION, LLC. ALL RIGHTS RESERVED
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LOOPER/ルーパー 

 

     2012年 アメリカ映画 上映時間158 <予告篇>

 

  STAFF

   

   監督/脚本・・・ライアン・ジョンソン

   撮影・・・・・ スティーヴ・イェドリン

   音楽・・・・・ ネイサン・ジョンソン

   編集・・・・・ ボブ・ダクセイ

 

 

 

CAST

 

 55歳のジョセフ・シモンズ・・・ブルース・ウィルス

 25歳のジョセフ・シモンズ・・・ジョセフ・ゴードン=レヴィット

 サラ・・・・・・・・・・・・・エミリー・ブラント

 セス・リチャーズ・・・・・・・ポール・ダノ

 シド・・・・・・・・・・・・・ピアース・ガノン

 2074年、犯罪組織が邪魔者を証拠を残さず始末するためにある方法をとっています。その方法とは一方通行の

 

 タイムマシンを使ってターゲットを30年前の2044年に送り込み、そこにいるルーパーと呼ばれる殺し屋集団に

 

 始末させるというものです。大袈裟で手の込んだ「殺し」です。「単価」はいったいどのくらい掛るのか想像も

 

 できません。しかしルーパーたちにとっては銃を構えて待っていればそこに目隠しをされたターゲットが忽然と

 

 現れるのですから、後は引き金を引くだけです。こんなに簡単な仕事はありません。しかも未来から来た

 

 人間ですからイマイチ罪の意識も希薄です。しかし当然ですが失敗は絶対に許されません。ターゲットの背中には

 

 報酬として金・銀の延べ板が括りつけられています。多分2044年の頃はドルの価値が下落していて殺し屋に

 

 とってもシビアな世界になっているのでしょう。「いつもニコニコ現物商売」というやつです。ある日、腕利きの

 

 ルーパー、ジョセフ(ジョセフ・ゴードン=レヴィット)の元に、男(ブルース・ウィリス)が予定の時間より

 

 少し遅れて転送されてきました。少し遅れて現れたというのがミソで後に理由が明かされます。いつものように

 

 すぐさま片づけるつもりでしたが、ジョセフはそのターゲットが30年後の自分自身であることに気が付きます。

 

 殺してしまえば自分はあと30年しか生きられないことになります。ジョセフが躊躇した隙をついて、未来の

 

 ジョセフが逃走します。さあたいへんなことになりました同時期、同時刻に同一人物が二人いるのです。

 

 それにしても未来のジョセフには毛がありません。全くのハゲです。ルーパー ジョセフはガッカリです。

 

 面白いストーリーですが何だか「ターミネーター」みたいでもあり、「バタフライ・エフェクト」みたいでも

 

 あります。それにしても「母の愛は絶対だ」的な括りは今のアメリカの在り様をみれば如何にも空疎な精神論に

 

 映ります。それとも彼らの大いなる願望として描いたのでしょうか。シド役の男の子(ピアース・ガノン)が

 

 強烈で主役の二人よりも強く印象に残ります。             2013/1/18 バルト11 (紅孔雀)

 


(C)2012WARNERBROS.ENTERTAINMENTINC
(C)2012WARNERBROS.ENTERTAINMENTINC

  

  ア 

 

   2012年アメリカ映画 上映時間2h <特別映像

   

   STAFF

    監督・・・ベン・アフレック

    脚本・・・クリス・テリオ

    撮影・・・ロドリゴ・プエリト

    音楽・・・アレクサンドル・デスブラ

 

   CAST

    トニー・メンデス・・・・・ベン・アフレック

    ジャック・オニール・・・・ブライアン・クランストン

    レスター・シーゲル・・・・アラン・アーキン

    ジョン・チャンバーズ・・・ジョン・グッドマン

    ハミルトン・ジョーダン・・カイル・チャンドラー

 

 アメリカの石油資本が支えたパーレビ国王政権の崩壊のとばっちりを受けた大使館員を救出作戦で、いつもは

 

 悪役のCIAが善玉役。CIAに目をつむれば、主人公が、重火器を使わず、智恵と仕掛けとハッタリで、

 

 しかも淡々と進めるところがいい。特に、トンデモ作戦に最後まで抵抗を示す大使館員を口説くというか、

 

 納得させるのに、脅したり理詰めではなく、大事な「真実」をもってする場面が印象的。

 

 判っていても、飛行機が飛び上がる場面は、つい自分も椅子から腰を浮かしそうになりました。

 

 ハリウッドで、A・アーキンに「映画はできたか?」と声を掛けていたのは、J・ニコルソンのようにも

 

 見えましたが・・・?

                                           2013/1/12 (い)

 

 実話に基づいています。ファーストシーン1979114日、イランの大群衆がアメリカ大使館の塀を乗り越え

 

 扉を破って占拠します。過激派に煽られた人々たちも混じっています。興奮し眼がイッています。混乱の中6人が

 

 脱出しカナダ大使の私邸に逃げ込みます、残った52人の大使館員は人質となってしまいます。

 

 イラン側は、ホメイニ師の「指導」のもと圧政を敷いてきた前国王パーレビを捕まえようとしています。

 

 そんな中、アメリカはパーレビの入国を受け入れます。理由は「がん治療のため」でしたがイラン側が猛反発、

 

 大使館占拠事件へと発展したのです。大使館員の写真つき名簿は襲撃前にシュレッダーにかけてられて

 

 いましたが、イラン側は大量の「紙くず」の山から驚くような人海戦術と根気の良さで復元を試みます。

 

 名簿が復元されれば脱出者が判り、捕まれば処刑されてしまいます。大使館の中はアメリカの「領土」ですが、

 

 外ではただのアメリカ人としてスパイ容疑を掛けられてしまうからです。国務省がCIAに応援を要請し、

 

 人質奪還のプロ、トニー・メンデス(ベン・アフレック)が呼ばれます。トニーは、6人を映画のロケハンの

 

 ためにイランに来たカナダの映画クルーに仕立て上げて、出国させるという冗談のような作戦をたてます。

 

 大物プロデューサーのレスター(アラン・アーキン)は、山積みの没原稿の中からイランでの撮影に相応しい

 

 SFアドベンチャー『アルゴ』を選び出します。大々的な記者発表を開き、本物さながらのプロジェクトが

 

 始まります。写真の復元は刻々と進み脱出は時間との戦いになってきます。このあたりはケビンコスナーの

 

 「追いつめられて」(1987年)を思い出します。最初に大群衆による大使館占拠を観ていますから

 

 終始不気味さが漂います。

 

 これは歴史的事実ですから結果は分かっています。従って作品の成否は演出と脚本にかかっています。

 

 その点でこの映画は立派に成功しています。時代考証も綿密でテンポも良く、危機一髪の連続でラストまで

 

 緊張感が持続されていきます。時折り挿入される当時のニュースフィルムが臨場感を盛り上げて効果的です。

 

 今年の第85回アカデミー作品賞のノミネートも当然でしょう。   

                               

                               2013/1/12 シネツイン本通り (紅孔雀)

 


(C) 2010 ConspiratorProductions, LLC. All RightsReserved
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  声をかくす 

 

    2011年製作 アメリカ映画 上映時間202 <予告篇

 

 

 

STAFF

 

 監督・・・ロバート・レッドフォード

 脚本・・・ジェームズ・ソロモン

 撮影・・・ニュートン・トーマス・サイジェル

 音楽・・・マーク・アイシャム

 

        CAST

         フレデリック・エイキン・・・ジェームズ・マカヴォイ

         メアリー・サラット・・・・・ロビン・ライト

         リヴァーディ・ジョンソン・・トム・ウイルキンソン

         エドウィン・スタントン・・・ケヴィン・クライン

         ジョセフ・ホルト・・・・・・ダニー・ヒューストン

 

 リンカーンブームの1つとは違うにしても、劇場でのデリンジャーでの暗殺を映像で見るという、何となく

 

 歴史体験も感じさせながら、軍法会議という特別の法廷映画でした。 

 

 元北軍の弁護士が、皮肉にもリンカーンを暗殺した南部の共犯者とされる女性を弁護するという中で、

 

 どんな非常時でも「憲法がある」というセリフが、この映画のキモでしょうか。

 

 サロンを出てから、ふっと、南部の町で、G・ペック扮する白人の弁護士が、黒人の被告人を弁護する

 

 「アラバマ物語」を思い出しました。                       2013/1/13 (い)

 

 

 ロバート・レッドフォード監督が奇をてらわず重厚に、そして時代の風景をそのままに描き出す歴史の

 

 一欠片(ひとかけら)です。1865年、南北戦争の終結直後、リンカーン大統領が南軍の残党に暗殺されます。

 

 主犯のジョン・ウィルクス・ブースは逃亡中に射殺され、共犯者が次々と逮捕されます。

 

 その中にメアリー・サラット(ロビン・ライト)という女性がいました。サラットは南部出身で、夫を亡くした

 

 後、2人の子供を育てるために下宿屋を営んでいました。その下宿屋を犯人グループがアジトにしていたために

 

 共犯者とみなされたのです。元司法長官のジョンソン上院議員(トム・ウィルキンソン)は憲法のもと、誰でも

 

 公平な裁判を受ける権利があるとして、彼女の弁護をフレデリック・エイキン(ジェームズ・マカヴォイ)に

 

 依頼します。エイキンは北軍の兵士だったために最初は躊躇しますが、結局引き受けることになります。

 

 被告たちは民間人でありながら、陸軍省が仕切る軍法会議にかけられます。

 

 スタントン陸軍長官(ケヴィン・クライン)は判事に配下の北軍将校9人を選び、裁判長はリンカーンの棺を

 

 担いだ男、検事はスタントンが最も信頼するホルト総監(ダニー・ヒューストン)が務めるという被告たちに

 

 とって絶対的に不利なものでした。スタントンは国家再建のため、見せしめとして暗殺に関わった全員を

 

 容赦なく裁くつもりだったのです。無実を主張するメアリーですが、彼女にとって有利な証言は次々と捻じ曲げ

 

 られていきます。最初、弁護に熱心ではなかったフレデリックも憤りを感じ始めます。

 

 150年近くも前の話ですが裁判における民衆の一方的な思考など現在にも通じるところがあり

 

 考えさせられます。ラストのテロップにこう記されています。

 

 「この裁判のあとフレデリック・エイキンは弁護士を辞めワシントン・ポスト紙の初代社会部長に就任した」

                                 

                                 2013/1/5 サロンシネマ (紅孔雀)